金星探査機あかつき   制作協力:宇宙航空研究開発機構/宇宙科学研究本部
 2010年12月7日、金星探査機「あかつき」は金星へ接近し逆噴射をかけて金星の周りを回る軌道へのせようと試みられました。しかし、8日、軌道へのせられなかったことが確認されました。2016年に金星へ接近する機会に、金星を回る軌道へ再投入することが試みられます。 あかつき特設サイトへ(JAXA)

金星探査機あかつき  2010年5月21日朝、金星探査機「あかつき」を載せたH-IIAロケット17号機が打ち上げられました。世界初の惑星気象衛星が金星へと旅立ったのです。金星探査機「あかつき」とは、いったいどんな探査機なのでしょうか。
 下記はあかつきの公式サイトです。あかつきの最新情報などを見ることができます。
金星探査機あかつきのページへ(JAXA/宇宙科学研究本部)
あかつき特設サイトへ(JAXA)
金星探査機「あかつき」PLANET-Cのページへ(JAXA/宇宙科学研究本部)


あかつきの外観
 あかつきの本体部分は1.04m×1.45m×1.40mで、重さは500kgあります。左の写真であかつきの上部に見える白いまるの部分は、地球との通信を行うためのアンテナです。
 宇宙空間では太陽電池パネルが開き、下のイラストのような形をしています。


エンジン
 あかつきの本体についているスラスターというものは、あかつきの姿勢を変えたり、金星到着時にブレーキをかけたりするためのエンジンです。スラスターごとに燃料は異なりますが、燃料を燃やしてガスを噴出し、あかつきを正しい姿勢、位置へと導きます。
下の写真は、あかつきに搭載されているセラミックスラスターと呼ばれるエンジンで、金星到着時に金星周回軌道に投入するために使用されます。


6つの観測装置
 あかつきには6つの観測装置が載せられています。5つがカメラでもう1つは電波の発振装置です。カメラでは写すことのできる光や赤外線によって、金星のいくつかの高さの雲や、地表面をとらえます。電波の発振装置は大気の層がどうなっているのかを調べます。
1. 1μmカメラ(IR1)
 地表面から発せられて宇宙空間にまで漏れ出す赤外線をとらえて、地表面や低いところの雲や水蒸気を観測し、活火山の検出もねらいます。
2. 2μmカメラ(IR2)
 雲の層よりも下の大気から発せられて宇宙空間にまで漏れ出す赤外線をとらえて、雲や一酸化炭素の分布やそれらの動きを観測します。地球出発から金星到着までの間に黄道光の観測も行います。
3. 中間赤外カメラ(LIR)
 雲が発する赤外線をとらえて、雲の温度分布とその変動を観測すします。
4. 紫外イメージャ(UVI)
 太陽からの紫外線が雲で照らされるのを観測し、最も上の雲にある二酸化硫黄などの微量大気成分を調べます。
5. 雷・大気光カメラ(LAC)
 雷の放電にともなう発光や大気の化学的発光を観測します。

6. 超高安定発振器(USO)
 探査機と地上の受信局を結ぶ電波が金星大気をかすめる機会を利用して大気の層構造を調べます。


装置の載っている場所
5つのカメラは、あかつき本体の側面に配置されています。


金星までの道のり
 あかつきは2010年5月21日に地球を出発し、2010年12月7日に金星へ到着する予定でした。地球が太陽の周りを回る軌道面と金星の軌道面は3度傾いています。12月7日の金星の位置は、地球と金星の軌道面が交差する位置です。この時に金星へ到着させると、あかつきが地球の軌道面を脱出する必要がなく、燃料の効率よく金星へたどり着くことができます。


金星の周りを回る
 あかつきは図のように楕円の軌道で金星の周りを回ります。最も遠いところは8万km、近いところは300kmです。
金星に近いでは、雲の重なり具合を観測します。
では、金星のクローズアップ画像で、雲の形を立体視するとともに、雷による発光や、大気光という大気が光る現象を観測します。
では、金星の雲の動き(スーパーローテーション)に合わせて飛行します。まるで気象衛星ひまわりのように、回転以外の金星の雲の動きを見ることができるでしょう。また地表の様子も観測します。


あかつきが撮影した地球
 あかつきは地球を出発した後、カメラの試験を兼ねて地球を撮影しました。カメラは順調で地球の雲の様子をとらえています。あかつきが金星へ到着すれば、このような感じで金星の雲を見ることができるでしょう。


VenusCamp.html