★サマータイムに関する声明文


 東北地方太平洋沖地震およびそれに伴う災害に被災された皆さまに、お見舞いを申し上げます。また、救助・復旧作業等で、日夜ご尽力されている多くの皆様に、深く敬意を表します。

 さて、震災により電力供給に滞りが生じたため、電力需要に関し逼迫した状況にあることは周知の通りです。現在はもちろんのこと、今夏についても節電努力が求められており、その方策のひとつとして「サマータイム制」の導入が提唱されています。
 しかし、サマータイム制の節電効果には有効性の確証にあたり考慮が必要な要素が多く、自然と生活との調和を念頭に置いて活動している日本公開天文台協会としては、その導入に反対を表明せざるを得ません。

 考慮が必要な主な要素としては次のものが挙げられます。

 (1) サマータイム制は、年に二度の時刻の書き換えを要します。会社、家庭、公共機関等に配置されている時計、コンピュータ、 GPSその他の機器の時刻の書き換えには、その前後で多くの人的作業が発生します。一見、単純に見えても、時間の変更に伴う設定や仕様の変更は広範囲に及ぶことが多く、膨大な作業とそのための電力消費を伴うことが予測されますが、この点の評価が存在しないようです。

 (2) 日本睡眠学会・サマータイム制度に関する特別委員会では、睡眠覚醒リズムが混乱し健康を害する可能性を指摘しています。
    さらに、同委員会では、日本人の文化とライフスタイルの特性から、睡眠時間の短縮を危惧しています。後者は、電力消費の 増加をもたらすものとして懸念されますが、この点の評価はまだのようです。

 (3) 上記の要素は、人的、物的に疲弊している被災地においては、特に大きな問題となることでしょう。災害復興への悪影響が懸念されます。

 いずれも、「時制」を強制的に変えることによるデメリットであり、どれをとっても社会的に大きな負の要素となることが懸念されます。

 節電を目的とするのであれば、サマータイム制を導入するよりも、フレックスタイム制の拡充、日照時間の増加とともに生活時間をずらすことを推奨する方が、社会生活にも、生産活動にも大きな負荷がかかりにくく、節電努力の社会的な要請に対し、各層の柔軟な対応が可能になると考えます。

 以上により、日本公開天文台協会としては、2008年6月26日の全国大会で採択した「サマータイムに関する声明文」を今一度確認し、節電以外の面を含めて、サマータイム制の導入に、あらためて反対いたします。


(なお、この補足文章と声明文は本協会としての声明であり、個人会員やその所属する団体の意思とは関係がありません。また、本会会員それぞれの行動を規制するものではありません。以上を了承のうえ下記をクリックしてご覧下さい。)

サマータイムに関する声明文(2008年6月26日) (PDF)